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心疾患と偏頭痛の関連性

医学会では以前より、心臓の障害と、脳卒中などの血管の障害、そして偏頭痛との関連性について研究されてきました。

 最近のある研究では、偏頭痛の発作を持つ人は持たない人に比べ、心臓発作を起こすリスクが約2倍、その中でもとくに、発作の前になんらかの前兆(おもに、閃輝暗点と言われる、チカチカしたフラッシュのような視覚障害)を起こす人については、起こさない人に比べて約3倍もリスクが高いという報告もなされています。

 なぜ頭痛、とくに偏頭痛が、心臓病のリスクにつながるのでしょうか。

 実際のところ、具体的な関連性については、詳しくはまだわかっていません。ただし、ひとつの可能性として、「アテローム性動脈硬化症」の目安になる、偏頭痛発作があるのではないかと言われています。

 アテローム性動脈硬化症とは、動脈硬化の一種で、高血圧や高血糖などで血管の内膜が傷つき、そこに血中コレステロールがたまり、アテローム(粥状の固まり)になることで血管が硬化してしまう症状のことを指します。アテロームで硬化した血管とは、例えるならば、内側が泥で汚れて詰まったホースのようなもの。内側が汚れたホースは、水を流そうとしても詰まって破裂してしまいますよね。同様に、アテロームの蓄積で細くなった血管は、血栓を詰まらせやすいため、動脈硬化を引き起こしやすいのです。

 偏頭痛は、脳や頭部表皮の血管が急激に拡張し、その周囲にある神経を過剰に刺激してしまうことで起こる頭痛と言われています。偏頭痛はそのメカニズムがまだ明確になっていない点も多いため一概には言えませんが、硬化した血管が、拡張や伸び縮みに付いていけなくなることで、頭痛を引き起こしている可能性が考えられます。

 もしこの仮説が正しいとすると、偏頭痛の患者の多くは、弱った血管であることが多いとみなされ、ということは、心臓の血管も弱っていることが考えられます。したがって、心臓病や心疾患、心筋梗塞などを合併して引き起こすリスクが高いのではないか、と考えられるのです。

 もちろん上記の説は、「偏頭痛の発作を持つ方が必ずしも将来心疾患を患う」ということではなく、あくまで仮説です。しかし、偏頭痛の発作や、血管の梗塞の有無にかかわらず、できるだけ高コレステロールな食事は避け、血圧に気を配った生活を送る方が、健康的な将来を迎えられることは間違いありません。

 今現在で偏頭痛の発作を持つ方も、そこまで深刻な症状ではない方も、あるいは高血圧や高脂血症など血管に疾患を持つ方は、いちど、動脈硬化の予防を行ったり、ストレス解消を行ったりするなど、血管に負担のかからない生活を送れているかどうか、生活習慣の見直しを行うといいかもしれません。